台風が原因で他人に損害を与えたときの賠償責任

20209Jan.

夏になると大型の台風が数多く上陸することがあります。自分の財産を守るのも大事ですが、強風等で自分の所有物が飛んでしまう等で、他人に被害を与えてしまうことも起きています。その場合、責任を負い賠償しなければならないのでしょうか。

損害賠償とは

損害賠償や賠償責任という言葉は、法律の専門家でない一般の人でも新聞やニュースなどで目にしたりすることがあると思います。私たちの日常生活や事業活動は、他人とのかかわりで成り立っています。その中で交通事故や火事、不注意などで他人のモノを壊したり、他人にケガをさせた時、お金や財物、精神的な不利益が発生する可能性があります。この不利益の事を「損害」と言います。

  • 損害賠償に関わる3つの言葉

台風の損害賠償を考えるうえで、まずは損害に関わる下記3つの言葉を整理しておきたいと思います。

・損害賠償

・損害賠償請求権

・損害賠償責任

基本的にはそれぞれ下記のような意味で使われます。

用語の意味

損害賠償とは損害が起きたときに、できる限り「損害が起きなかった時と同じ状態に戻すための埋め合わせをする」こと。損害の埋め合わせをする行為そのものについての名詞といったイメージ。
損害賠償請求権とは自分が損害を受けた側の時に、損害を与えた人に対して「損害を穴埋めしてください。」と求めることができる権利のこと。
損害賠償責任とは自分が損害を与えた側の時に、損害を受けた人に対して「損害を穴埋めする責任を負う」こと。

  • 損害賠償の請求権と責任が生まれる条件

法律上は、他人に損害を与えた場合、どんな場合でも必ず請求権や責任が生まれるわけではありません。基本的には下記2つの法律上の損害賠償が発生したときに生まれます。

法律上の2つの損害賠償

債務不履行契約など約束事で決めたことが守られない場合。
不法行為故意や過失で他人に被害を与えた場合。

上記のどちらかに該当した場合に「損害賠償請求権」や「損害賠償責任」が発生します。そのため、損害賠償を考えるうえでは、上記のような「法律上の責任があるかどうか」がポイントになります。

台風によるトラブルと法律上の責任

台風によって他人に被害を与えてしまうトラブルの場合にも「法律上の責任があるかどうか」がポイントになってきます。具体的に下記のようなケースではどうなるでしょうか。

■台風によるトラブルの例

1:台風の強風で、2階にある自宅マンションのベランダに置いてあった鉢が下に落ちてしまった。その際に、下の駐車場に止めてあった他人の車のボンネットにぶつかり凹ませてしまった。

2:物凄い強風で、自分が営業する飲食店の看板が飛ばされた。その際に、隣家の窓ガラスにぶつかり割ってしまった。

3:友人から預かった車を、台風が近づいていたため風よけで自宅のカーポートに停めておいたが、高潮で水没してしまった。

上記の例は、一般的に賠償責任は無いと判断されるケースが多いです。何故なら「台風等の自然災害は予見の可能性が極めて限定されていて、回避することが不可能であると考えられるので、不法行為(故意・過失)にあたらないため法律上の賠償責任は生じないと解釈される事が多いからです。債務不履行に関しては台風は契約事では無いのでそもそも該当しません。

  • 故意・過失がある場合

上記の例でも、法律上の賠償責任を考えた結果、加害者に過失があった場合、賠償責任が発生する可能性があります。例えば、看板の例で、下記の場合だったらどうなるでしょうか?

■台風によるトラブルの例

1:物凄い強風で、自分が営業する飲食店の看板が飛ばされた。その際に、隣家の窓ガラスにぶつかり割ってしまった。看板はいつもぐらぐらしていて、周囲から苦情も受けていたが修理を怠っていた。

上記の場合は、建物の管理が不十分であったように見受けられます。そのため不法行為の過失ありとみなされ、賠償責任が発生する可能性があります。このように賠償責任は被害があった状況を総合的に判断していきます。

台風トラブルと賠償保険

損害保険には、法律上の賠償責任を負った時に備えたい方向けに賠償保険という商品があります。この保険に加入している個人の方、企業も多いと思います。台風の前後に「台風で他人に被害を与えてしまったが、保険は使えるのか」という質問をいただくことがあります。

賠償保険は法律上の損害賠償に備える商品なので、この場合も「法律上の責任があるかどうか」がポイントになります。そのため、責任がない場合は、双方の話し合いで解決していただくことになります。

もし、自分が被害を受けた側になった場合も、相手に責任が無ければ修理費用等を請求することはできません。もし自分の建物や車が被害を受けてしまう事を想定するならば、一般的に自然災害では、賠償責任が発生しないことが多いのでしっかりと自分で火災保険や車両保険などの加入を検討する必要があります。

自然災害に備える保険を詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。


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