役員は損害賠償で訴えられる危険がいっぱい。役員の責任とリスクとは

201930Dec.

サラリーマンとして働いていると、社長や役員は遠い存在に感じるかもしれません。しかし、起業したらいきなり代表取締役になれます。そんな役員は従業員と何が違うのでしょうか。会社という組織の中で、役員が抱えている目には見えないリスクと責任、対策をご紹介します。

役員の責任

役員は会社との関係で成り立っている存在です。この2者の関係性は「委任者と受任者」です。大雑把に言うと、会社は「会社が儲かるように運営してください」と役員に委任します。これを受任した人が役員として会社の運営をすることになります。

この委任と受任の関係は、会社がこの人は運営に向いていないと判断したら解消することができます。すなわち役員は結果を出せないと簡単に首を切られてしまう可能性があります。労働法で雇用が守られている従業員とは違い、自由度はありますが実はとても弱い立場なのです。

役員には会社の運営をするために、委任者である会社とそれ以外の者に対して、下記のように多くの責任が課せられることになります。

■会社に対する責任

・善管注意義務

・忠実義務

・競業避止義務

・利益相反取引回避義務

・監督監視義務

■会社以外に対する責任

・一般不法行為責任

・忠実義務

上記は「役員の義務」なので必ずしなくてはならない事です。これらは会社法と民法が根拠になっています。会社法423条1項では役員等の株式会社に対する損害賠償責任について記載があり、第1項には、役員が上記を怠り会社に損害が発生した場合は、賠償しなければならないという内容の記載があります。さらに、会社法847条では株主が役員の責任を追及する内容が書かれていますが、その中で役員は株主からも訴えられる危険があるとなっています。

役員が負う責任

責任を負う対象会社、第三者(従業員や株主も含む)
会社に対しての根拠法会社法423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
民法415条(債務不履行による損害賠償)
第三者に対しての根拠法会社法429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
会社法847条(責任追及等の訴え)
民法709条(不法行為による損害賠償)
民法710条(財産以外の損害の賠償)

このように役員は、会社の経営に携わるうえで業務の過程や結果に対してかなり重い責任を負い「個人として」損害賠償請求をされる可能性が常にある存在なのです。

役員個人のリスク

上記のように、役員は会社と第三者へ様々な責任があります。会社・第三者と一言で言っても、会社経営は取引先、従業員、株主等様々な関係で成り立っています。役員はこれら全ての関係者に対して責任を持って会社を運営しなくてはなりません。「責任がある」ということは、裏を返すと様々な関係者から訴えられる危険と隣り合わせであると言えます。

■役員が訴えられる相手の例

・会社

・株主

・従業員

・過去の役員

・他の役員

・取引先

etc...

こうした会社・第三者からの訴訟に関して下記3点の注意が必要です。

■個人資産で訴訟に対応

会社のトラブルで会社が訴えられた場合は、会社の経費で弁護士費用等の訴訟費用で対応できます。仮にもし敗訴したとしても損害賠償金を支払うのは会社です。

しかし、役員個人が訴えられた場合、訴訟費用や損害賠償金を支払うのは個人です。この場合、原則会社は助けることができないので、訴訟対応の弁護士費用も敗訴した際の賠償金も全て役員個人が自分の資産の中から支払わなければなりません。弁護士に対する着手金30万円だって個人にとっては大きな金額です。さらに賠償金はいくらになるか予想できないので、億単位の金額になる可能性もあります。

■他の役員の監視責任も問われる

役員は、他の役員の監視責任あります。つまり自分の行為だけでなく、他の役員がおかしなことをしないようにお互いにチェックし適切な会社運営をしなければいけません。もし他の役員が不正・不祥事を起こした場合、それを防げなかった監視責任に対して訴えられる可能性があります。自分はやっていないのに訴えられるという、完全にコントロールできない他人の行動によって、訴訟に巻き込まれるリスクも見過ごせません。

■損害賠償は家族に相続する

損害賠償は相続するため、家族を訴訟に巻き込むリスクも存在します。すでに亡くなった役員の在任中の行為で相続人が損害賠償請求を受けるケースも実際に起きています。そのため役員とその家族は、役員が負っているリスクを共有している状態にあると言えます。

役員個人を損害賠償から守る損害保険

役員になるということは、重い責任とリスクを引受ける事も意味しています。そこで損害保険には、こうしたリスクに備えるために下記のような商品があります。

■役員を守る損害保険の例

・D&O(役員賠償責任保険)

・EPL(雇用慣行賠償責任保険)

・EL(使用者賠償責任保険)

役員が抱えるトラブルは、想定されるケースが業務内容や会社形態等によって多岐にわたります。そのため保険としても必要な補償や加入方法が複雑となるので、保険会社・代理店と詳細に打合せをしたうえで加入する必要があります。

■トラブルの例

役員同士

社外の第三者への対人・対物

従業員への対人・対物

従業員の家族からの訴え

パワハラ

セクハラ

すでに役員になっている方、役員になろうとしている方は、この「役員のリスク」を念頭に現在の保険加入の有無や補償内容も確認していただければと思います。

役員個人の身を守る損害保険について詳しく知りたい方は、お問い合わせください。


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